• 311月

    転移性すい臓がんの新薬として抗がん剤「アブラキサン」の臨床試験(治験)で良好な治療結果が得られた。

    すい臓がん新薬「アブラキサン」の第3相試験では、既存の抗がん剤であるゲムシタビンとアブラキサンを併用したすい臓がん治療を実施した。 新薬治療の結果、既存抗がん剤のゲムシタビン単独での治療と比較して、余命の延長効果が示されたのだ。

    新薬によるすい臓がん治療では、全生存期間が改善し、1年生存率が59%増、2年生存率は2倍へと大幅に改善した。さらに、無増悪生存期間や全奏功率などの指標においても、 新薬の併用療法は優れた成績を示した。

    最も重要なことは、新薬による治療でも、深刻な副作用が出現しなかったことだ。

    すい臓がん治療薬「アブラキサン」は、スイスのセルジーンが開発中の新薬で、 抗がん剤パクリタキセルをヒトアルブミンと結合させた懸濁注射剤である。

  • 291月

    日本の胃がん患者が激減される可能性が出てきた。

    多くの胃がんの原因だと判明しているピロリ菌の除菌治療やピロリ菌検査が 2013年には保険診療として認可される見込みが出てきたのだ。

    がん患者のほとんどにピロリ菌が関与しており、胃潰瘍や、胃がんの危険性の最大の原因であることが解っていた。しかし、これまでは「予防的な治療は保険診療にならない」という原則から、保険診療の対象は非常に限定されたものだった。現在は、消化性潰瘍の治療歴のある患者、早期胃がんの内視鏡治療を受けた患者等にしか保険診療が認められていなかった。

    しかし、ピロリ菌40代で約3割、60代で約7割の人が感染している胃がん要因であり、除菌治療が胃がん患者と胃がん死亡削減の決め手と、保険適用化の要望が高まっていたのだ。

    保険適用化によってピロリ菌除菌が広まれば、消化性潰瘍の患者数も、胃がんの患者数も、確実に減少するだろう。日本で現在年間5万人が亡くなる胃がん患者の激減は歓迎すべき施策だ。

    胃がんはピロリ菌が最大の要因のため除菌でリスクを最小化できるが、他方、日本人に胃がんの多い原因である「塩分過多の食生活」には留意が必要だ。規則正しく多様性のある食事を基本に、減塩を心がけることは、胃がんだけでなく生活習慣病全般の予防に寄与するからだ。

  • 281月

    乳がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、骨髄腫に効果的な新治療法が注目されている。

    緑茶に含まれるカテキンの一種と男性機能不全治療薬(ED治療薬)を併用投与することで、正常細胞を損傷せずにがん細胞だけを殺す新治療法だ。

    従来の抗がん剤では効果の無い場合でも、このがん新治療法ならば高い抗がん効果が発揮されるという。

    既に2004年には、緑茶カテキンの一種である「エピガロカテキンガレート(EGCG)」が、 がん細胞の細胞膜表面にあるたんぱく質と結合することによって、 がん細胞を特定して殺す仕組みを解明していた。

    その後の研究で、緑茶カテキン(EGCG)の抗がん作用を阻害する酵素に着目し、この阻害酵素の働きを抑える化合物を含むED治療薬を併用投与することで、 抗がん作用を飛躍的に高めることが発見されたのだ。

    人間の乳がん細胞を移植したマウス実験では、 2日に1回、緑茶カテキン(EGCG)とED治療薬を投与すると、 16日間でがん細胞を死滅することができた。このがん新治療法は、高い抗がん効果を発揮することが実証されたわけだ。

    新がん治療法は、九州大の研究チームが突き止め、 2013年内の臨床実験の開始を計画している。

    研究成果は米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに掲載された。

  • 231月

    タバコの喫煙が膀胱がんでの生存率をも低くするとの因果関係が最も明確に示された。

    米国のマイアミ大学と南カリフォルニア大学の共同研究チームが、民族背景の異なる212人の膀胱がん患者の喫煙状況とがんの進行を調査した結果、非喫煙者やたまにしかタバコを吸わない人よりもヘビースモーカーのがんがより進行し、 がんによる死亡リスクが高いことが発見されたのだ。 膀胱がん患者が喫煙者の場合には、がん細胞が特に攻撃的になり、 がん患者を死亡させるのだ。

    膀胱がん患者の追跡調査は1987~1996年に実施され、詳細が専門誌「Cancer」に発表された。

  • 181月

    乳がん治療において外科手術や放射線療法と並行して、再発予防に5年間の服用が必要な抗がん剤アナストロゾール。アナストロゾールは、閉経後の乳がんに効果があるとされるホルモン剤だ。

    このアナストロゾール錠に、効果効能は変わらずに薬代の安いジェネリック薬(後発薬)が発売された。

    例えば1日1回5年間服用した場合(3割負担)、従来のアナストロゾール標準品ならば薬代は約31万円だが、新しいジェネリック薬なら約17万円で足りる。乳がん治療抗がん剤の費用を約半額にできるのだ。

    ほぼ半額に安くなったアナストロゾール錠「サワイ」は沢井製薬が販売を開始する。

  • 171月

    肺がん治療の新薬が販売認可された。

    販売認可された肺がん新薬は、「エルロチニブ」(HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ)だ。

    新薬エルロチニブは、いわゆる分子標的薬に分類される抗がん剤で、 EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者にとっては、特効薬となる可能性を秘めている。

    肺がんの上皮増殖因子は細胞膜に存在するタンパク質のEGFR遺伝子の一部に結合することで、 がん細胞の増殖や分裂の加速や転移を引き起こす。新薬エルロチニブはEGFR遺伝子変異を抑制することで、がん細胞が活性するのを抑制するのだ。

    新薬エルロチニブは、アステラス製薬が米国食品医薬品局(FDA)から販売認可を受けた。

  • 161月

    胃がんの発病を劇的に減らせる政策がある。

    胃がん検診の手法を刷新することで、胃がん死を劇的に減少させることが可能なのだ。

    日本人に非常に多い胃がんの原因がピロリ菌であることが明白であるにもかかわらず、従来のバリウムでのエックス線検査による胃検診では、ピロリ菌への対策は皆無だ。

    胃がんを撲滅する新しい検診方法とは、ピロリ菌への対策を中心に据える。簡単な血液検査で胃の炎症,萎縮,ピロリ菌感染の指標が把握できるペプシノゲン(PG)法や、ピロリ菌抗体検査を胃がん検診の中心とし、ピロリ菌陽性の場合には除菌治療を実施し、その後を内視鏡での経過観察とすることで、 胃がんの発病患者数が劇的に減少できることは明白なのだ。

    胃がんの原因の大部分が、ヘリコバクター・ピロリ(Hp)菌感染であることが判っているのだから、原因に近い検査と治療の実施が最大の効果をもたらすのは容易に想像できる。

    団塊世代が還暦を迎えることで、日本の胃がん患者数は増加し、胃がんによる死者も増えてしまう。さらには、胃がん治療の医療費増大が、保険財政をさらに圧迫することで、国すらも傾いてしまう大問題なのだ。

    多くのがんが生活習慣病由来であるため予防は困難である一方で、ワクチンや抗生剤投与などで予防が十分に可能な、胃がん子宮がんなどの感染症由来のがんは、一次予防を優先することが医療行政の最大効率化として期待されているのだ。

    胃がんでの死亡者数が年間5万人と、過去40年以上も減少していない事実は重く受けとめて欲しいものだ。

  • 111月

    大腸がんの手術後の食事で、死亡リスクが80%も高まることが判明した。

    米国国立がん研究所が発表した論文では、 ステージ3の大腸がん患者1万人を調査した結果、手術後の炭水化物の摂取量が多い大腸がん患者に、再発リスクや死亡リスクが高いことが確認された。

    炭水化物の摂取量が多い大腸がん患者は、炭水化物の摂取量の少ない大腸がん患者と比較して、再発リスクや死亡リスクが80%も高いのだ。術前から肥満状態である大腸がん患者ではさらにリスクが高まる傾向があった。

    肉や穀物を中心とした西洋型の食事が大腸がんの大きな発症要因、再発原因であることは、明白だったが、「何」がリスクなのかを特定することは困難だった。「赤身肉が大腸がんの原因だ」「糖質が大腸がんを再発させる」等々の論争が続いている。

    今回の研究で少なくとも大腸がんの手術後の再発予防に関しては、炭水化物の摂取制限が有効であることが明確になったことは、福音といえるだろう。 大腸がん手術後の生存率を改善するには、炭水化物の摂取制限をすることが有効なのだ。

  • 101月

    がん の光治療に高い治療効果が認められ、実用化への期待が高まっている。

    がんの光治療とは、がん細胞に近赤外光を当てることによって熱でがんを破壊する治療法。がん細胞特有のたんぱく質に結合し、近赤外光で発熱する化学物質を、事前に注射することで、近赤外光の照射によってがん細胞だけが壊死する新治療法だ。正常な細胞は傷つけず、副作用も無く、患者の負担が軽いがん治療法として期待されている。

    既に2011年には、マウス実験で光治療法によってがん細胞が破壊されることは実証されていた。しかし、近赤外光を患部へ直接に照射する必要があるため、体内深部のがん治療には開腹もしくは腹腔鏡による手術が必要であり、さらに複数回の照射が不可欠だったため、患者負担を考慮すると光治療の最大の課題であった。

    今回の改良では、薬剤と体の外から光を当てる治療法を組み合わせることで、マウス体内のがん細胞を1回だけの光治療で破壊することに成功した。

    解決する改良された光治療は、 がん細胞に集まりやすい加工を施した新しい抗がん剤「ナノ製剤」の併用とした。

    子宮がん由来の悪性腫瘍を体の深部に発症したマウスに対して、光治療を施し、続いて抗がん剤を注射した。結果は10匹のマウスのうち6匹は1回の光治療だけでがんが消え、6カ月後も生存していた。他方、薬だけや、1回の光治療だけのマウスは、いずれも2カ月以内に死んでしまったのだ。

    分析では、がんへの薬剤の集まり度合が、光治療をしない場合の約20倍に向上したとされている。

    がんの光治療法の改善は、米国立衛生研究所が米化学会ナノテクノロジー誌へ発表した。

    がんの光治療は、頭頚部がん、肺がん、乳がんにも効果があるとされ、早期の実用化が期待されている。数年内でのがん治療への臨床応用から新がん治療法として実用化を目指す予定だ。