• 2811月

    注目度の高い最新がん治療の代表といえば「陽子線治療」だ。

    一般的な放射線治療に使われるX線は、皮膚に近いところで放射線量がもっとも高くなり、体の深部に存在するがん病巣に対しては線量が低くなってしまう。しかし、陽子線によるがん治療では体の深いところで放射線量が高くなり、しかもがん病巣に留まる性質があるのだ。この性質によって、陽子線がん治療では、体内深部のがん患部にピンポイントで照射できるのだ。

    X線による放射線がん治療が体へのダメージを与えて副作用が酷いのは、がん細胞以外の正常な細胞にも放射線を浴びせてしまうことが原因だ。陽子線がん治療ではこの副作用が劇的に低減され、がん患者体全体への負担も少なくてすむ。また、陽子線がん治療は、初期がんから末期がんまで幅広いがん患者を治療することが可能だ。ただし、がんの種類や大きさ・位置などによって効果が変わってくるため、陽子線がん治療を受ける前に綿密な診断が必要不可欠だ。

    なお、食道がんには適用可能だが、 胃がん大腸がんなど消化器系のがんは放射線を当てることで潰瘍が発生するリスクが高く、不適とされる。

    陽子線がん治療の実際の治療では、病巣を狙い非常に精密なピンポイント照射ができるため、陽子線の照射前には体を固定する必要がある。陽子線の照射中に体を動かさないことが高いがん治療効果と低い副作用につながる。しかし、専用機器に横たわり陽子線を照射される実時間は、1回たったの2~3分程度だけだ。この間、痛みや痒みも殆ど感じることは無い。

    そしてこの治療を週5日間、2~7週間続けるのが標準の陽子線がん治療課程となっている。したがい、基本的には入院の必要性が無い。治療期間が短いために患者の体力的な負担は非常に小さく、陽子線がん治療に合う症状と診断された場合には、治療の選択肢として十分な価値はあるだろう。

    陽子線がん治療の最大の課題は高い治療費だ。患者の自己負担は、がんの種類、治療期間に関係なく約290~320万円とされる。

    費用が高いのは、設備が大規模であるだけでなく、運営費用も非常に高いからだ。陽子線を発生させる治療機器だけで約50億円、運営費は電気代が月額で約1200万円必要なのだ。

    陽子線治療は民間保険会社の先進医療特約の対象なのだ、もしも保険に予め加入しているなら、約300万円の治療費を自己負担することなく、 最先端のがん治療を受けることが可能となる。

    遠からず公的な健康保険による治療対象となることが議論されており、がん患者からも強く望まれている。

  • 2011月

    がん免疫細胞治療の一種であるナチュラルキラー細胞療法(NK細胞療法)が提供開始された。

    免疫細胞の一種であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)は, 血液中に10~20%存在しており、がん細胞やウイルス感染細胞に対して、強い細胞殺傷能力がある。

    がんを発症した患者はNK細胞を含めた免疫力が低下している症例が多いための、 免疫療法では、免疫細胞の数を増やしたり、免疫細胞の活性度を上げたりすることで がん細胞の低減を計る治療法として多様な手法が試みられている。

    今回に提供が開始された新治療法では、 NK細胞の新しい培養技術を開発したことで、 10億個~100億個という大量のNK細胞の投与が可能になった。

    これまでは、NK細胞を短期間では大量に増殖できなかったが、新しい培養技術によれば安全なNK細胞を2週間で最大2000倍まで増殖できる。増殖された免疫細胞であるNK細胞を大量に体内へ戻すことからNK細胞療法と呼ばれるのだ。

    各種の免疫細胞療法は、副作用の無い究極のがん治療法として注目を集めており、 NK細胞療法だけでなく、樹状細胞ワクチン療法やCTL(免疫細胞)療法、さらにはサプリメント療法や温熱療法と多岐に渡っている。

    複数の免疫細胞療法を併用することで、さらにがん治療効果を高めることが期待できるのだ。

  • 1611月

    がん再発の原因とされる「がん幹細胞」を「再発しないがん細胞」に変える効能が、既存薬である糖尿病治療薬メトホルミンにあることが発見・実証された。

    がんを外科手術で取り除いても、少しでもがん幹細胞が残されているとがんが再発してしまう。しかし、この「がん幹細胞」は放射線治療にも抗がん剤治療にも効果が薄く、 がんの根治が困難な原因となってきた。

    しかし、がん幹細胞の維持に糖代謝が関係していることが発見され、「がん幹細胞」を「再発しないがん細胞」へと変化させる新薬の開発を目指して研究された。そして、既存の糖尿病治療薬である「メトホルミン」の投与によって代謝調節遺伝子を活性化させる効果で、 がん幹細胞が「再発しないがん細胞」に変化する仕組みを解明した。マウス実験を重ねることで、新治療法の効果と作用メカニズムまでもが確認されたのだ。

    糖尿病治療薬「メトホルミン」は、 がんの増殖を抑制する効果が指摘されてきたが、これまでは経験的な知見に留まっていた。しかし、メトホルミンがガン再発を抑制するメカニズムが解明されて、がん幹細胞への効果が確認されたことで、 乳がん肺がんの治療にも応用できる可能性が高まっている。

    糖尿病治療薬として既に承認薬となっているメトホルミンのがん治療への応用は、がんへの効能追加申請と承認を経て早期に開始される可能性が高いだろう。

    この新しい抗がん治療は、山形大と国立がん研究センターの共同研究チームが世界で初めて実証した。研究論文は米国の科学誌ステム・セルズ・トランスレーショナル・メディシンに掲載されている。

  • 1511月

    小児がん治療用の抗がん剤が新たに追加される見通しだ。

    子供のがんである「小児悪性固形腫瘍」は日本で年間に約1,000~1,500人が発症する。

    この小児がん「小児悪性固形腫瘍」に対して、ヤクルトが抗悪性腫瘍剤「カンプト」の効能・効果追加の公知申請を厚生労働省に行った。

    「カンプト」は小児がん「小児悪性固形腫瘍」に対しては新薬となるが、「非小細胞肺がん, 小細胞肺がん, 卵巣がん, 子宮頸がん」の治療に対する効能・効果では1994年1月に承認済みで、さらに「胃がん, 結腸/直腸がん, 乳がん, 有棘細胞がん, 悪性リンパ腫」の治療に対しても 1995年9月に効能・効果の追加承認を受けている。

    小児がんに対する新薬の承認申請は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て開発要請が出されたもので、早期に承認され、小児がん治療に利用できる要望が高い新薬なのだ。

  • 1411月

    すい臓がん治療に新しい抗がん剤治療法が開発されている。

    抗がん剤のアブラキサン(パクリタキセル)とゲムシタビン(ジェムザール)の併用で、生存期間が延びることが確認されたのだ。アブラキサンは、抗がん剤「パクリタキセル」をヒトアルブミンと結合させた懸濁注射剤だ。

    スイスの製薬会社セルジーンが、未治療の進行性すい臓がん患者を対象とした治験を実施し、アブラキサン(パクリタキセル)とゲムシタビン(ジェムザール)の併用治療で第3相臨床試験の結果、全生存期間が有意に改善したのだ。さらに、この2つの抗がん剤を併用する新治療法の安全性は、アブラキサンの単独療法の臨床試験と同等だったとされる。

    すい臓がん抗がん剤は種類が少ないため、新治療法に期待が高まっている。

  • 0211月

    前立腺がん治療用の抗がん剤新薬「ゴナックス 皮下注用」が新発売された。

    新薬ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)は、前立腺がん患者のがん増殖を促進してしまう男性ホルモンのテストステロンの発生を抑えることで、前立腺がんの増殖を抑制する効果がある。

    海外では既に62か国で承認されている皮下注射される抗がん剤だ。日本では2012年6月29日に承認取得し、同年8月28日に薬価基準に収載された。

    アステラス製薬から、2012年10月23日(火)に販売が開始される。